糸数 七重

いとかず ななえ Itokazu Nanae 日本薬科大学

講義内容

漢方コース2023

代表的な漢方古典から知る伝統の知恵

漢方の本来の構造を知るには、実は「漢方古典」について理解することが重要です。
この講義では「漢方の三大古典」と呼ばれる『黄帝内経』『神農本草経』『傷寒雑病論』について、その成立過程や内容について解説し、漢方の基礎的な考え方をお伝えします。
さらに各時代の代表的な医書の内容の変遷を大まかに解説し、人体や治療に関する考え方が時代とともにどのように変化し、それが現代の漢方治療にどのように反映されているかを俯瞰できるようにします。時代による考え方の違いは、その時の気候や生活習慣、メジャーだった疾患によっていることがわかります。そのため「同じ漢方のはずなのに、お医者さんによって説明のしかたが違う…」「漢方って本当に信用できるの?」などの疑問にもお答えできる内容となっています。

漢方コース2023

漢方薬の解釈と知っておきたい漢方処方

現代日本で実際に治療に頻用されている漢方処方の中から “風邪に対する代表的な処方”、 “婦人科疾患に対する代表的な処方”など、すぐに使いたいもの、使いこなしたい…と、よくおっしゃっていただくものを例として取り上げ、その内容について解説します。
漢方に特徴的な診断の考え方である「証」や、それに対する漢方処方の処方構成の考え方がわかるようになり、薬局で漢方処方を選ぶときや病院で漢方薬を処方してもらう際の相談にも役立つような講義といたします。

漢方コース2023

高齢者のための漢方

複数の症状を同時に抱えること、かつては「ちょっとした不調」だったものが生活に多大な影響を及ぼすことなどは高齢者の健康問題の特徴です。また、加齢に伴って発症しやすい疾病や症状もあり、ひとつひとつの症状を緩和しようとすると、使わねばならない薬が増える傾向にあります。
漢方はこれらの問題に対処し、高齢者の健康状態の“底上げを図る”のに適しています。
この講義では、高齢者の健康トラブルの代表的な症状とそれに応用できる漢方処方、およびその適切な選び方について解説します。
ちょっとした症状のコントロールを目指して薬局で薬を買う際にも、医師に症状をより適切に説明し、より的確な処方をしてもらうためにも役立つ講義です。

プロフィール

  • 日本薬科大学漢方薬学分野講師
  • 中国医薬大学都築伝統薬物研究中心訪問研究者
  • 文部科学大臣認定職業実践力育成プログラム・日本薬科大学漢方アロマコース担当

経歴・実績

東京大学薬学部卒、同大医学系研究科博士課程修了。慶應義塾大学ツムラ寄付東洋医学講座助手、国立医薬品食品衛生研究所生薬部研究員、武蔵野大学一般用医薬品教室助手・助教を経て現職。専門は漢方・生薬薬理、社会薬学、統合医療。

現在の活動やPR

2017年より日本と台湾を往復しつつ漢方・中医・薬膳の研究・調査・教育に従事。

 


受講者へのメッセージ

漢方は現代における医療のツールとして非常に重要なものですが、一般的なサイエンスとは異なった論理体系を持つものでもあります。
『漢方古典解説』では、サイエンスに対して漢方理論がどのような立場にあり、どのように受け止めるのが適切なのかを歴史の中から理解できるようにお伝えします。
また、『漢方処方学』では、漢方処方の処方構成について、シンプルで応用のしやすい基礎的な考え方を、『漢方症例解説5』では、実際に漢方処方が使用されがちな症状を上げながら、どのように漢方処方を選べばよいかをお伝えします。
現代のサイエンスと異なる“もうひとつの理論体系”をニュートラルに捉え、より健康的な生活を目指すための考え方をお伝えできればと思います。

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